『福島県議会 令和5年 6月定例会代表質問』 |
県民連合の椎根健雄です。
会派を代表して質問を行います。
初めに、令和5年度6月補正予算編成についてであります。
県は、今定例会に物価高騰や凍霜害への対応など、喫緊に必要な経費として95億円余りの補正予算を提案しております。
原油価格や輸入製品など、物価の高止まりが長期化する中、県民生活に大きな影響を及ぼすとともに、地域経済を支えている中小企業等の経営環境も一層厳しさが増している状況にあるため、生活者や事業者の方々の負担を軽減する対策が重要であります。
さらには、4月に発生した凍霜害により、中通りや会津地方の果樹などを中心に被害が発生しており、被害を受けた農家への支援を含めた対策を徹底する必要があるなど、喫緊の課題が山積していることから、国の財源などを積極的に活用し、事業を構築していく必要があると考えます。
そこで、6月補正予算編成に当たっての基本的な考え方についてお尋ねします。
次に、震災と原発事故からの復興・再生についてであります。
先月の1日に飯舘村長泥地区の特定復興再生拠点区域の避難指示が解除され、これで、6町村全てで特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。発災から12年余りの歳月が経過しましたが、避難を余儀なくされていた住民の皆様にとっては、待ちに待った古里への帰還が現実のものとなり、避難地域の復興・再生は着実に前へ進んでおります。
しかしながら、今回、避難指示が解除された帰還困難区域は、全体の8%に過ぎず、依然として、帰還困難区域は、避難指示が継続したままであり、古里への帰還を切望しながら、避難生活を続けざるを得ない住民の皆様にとって、まだまだ大変なご苦労の日々が続いております。
こうした状況を踏まえ、古里への帰還を希望される住民の皆様の思いに応えるため、今国会で、福島復興再生特別措置法が改正され、「特定帰還居住区域」が創設されました。
これにより、避難指示が続く帰還困難区域で、更なる避難指示の解除に向けた取組が可能となりますが、復興・再生に当たっては、避難を余儀なくされている住民の皆様の思いにしっかりと応えることが何よりも大切であり、一日も早く安心して古里への帰還が果たせるよう速やかに取り組んで行かなければなりません。
そこで、福島復興再生特別措置法の改正を受け、帰還困難区域の復興・再生にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
次に、ALPS処理水についてであります。処理水の取扱いについて、国が「春から夏ごろ」と示した海洋放出の時期に差し掛かっております。
国は、行動計画に基づき、安全対策や理解醸成のための取組など、様々な対策を講じているところではありますが、いまだ、海洋放出に反対する声や風評を心配する声が多い状況です。
そのような中、今月12日には、希釈放出設備において、放射性物質を含まない水を使い試験を開始するなど、東京電力は6月末までに処理水放出のための設備の準備を完了させる見通しを示しています。
ALPS処理水の処分については、安全性の確保が大前提であり、放出に係る設備については、福島県原子力発電所安全確保技術検討会が事前了解の際に取りまとめた8項目の要求事項が確実に実施されるよう、国・東京電力の取組をしっかりと確認する必要があります。
そこで、県は、ALPS処理水の希釈放出設備等の設置工事に係る事前了解に当たり求めた要求事項をどのように確認しているのかお尋ねいたします。
次に、福島イノベーション・コースト構想についてであります。福島イノベーション・コースト構想につきましては、震災と原発事故で失われた浜通り地域等の産業基盤の回復を目指した国家プロジェクトであり、その実現に向け、これまで様々な取組が行われてきました。
先日の報道によれば、福島イノベーション・コースト構想推進機構等の支援により、医療やドローン分野での新たな製品・サービスの実用化が進められるなど、本構想の成果が着実に生まれております。
一方で、産業復興の実現に向けた課題はまだ多く存在しております。
今後、多くの県内企業が、浜通り地域等の地元企業との取引を拡大したり、共同開発などの連携を進めることで、本構想の効果を浜通り地域等はもとより、県全体に波及させていくことが重要であると考えております。
そこで、県は、福島イノベーション・コースト構想による効果をどのように県全体に波及させていくのかお尋ねします。
次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
私たちは、これまで3年を超える長期にわたり、県民の皆様の命や健康、暮らしを守るため、社会全体に大きな影響を与えた新型コロナウイルスと闘ってまいりました。この間、闘いの最前線に立ち続け、現在も対応されている医療従事者の方々に改めて敬意と感謝の意を表します。
去る5月8日に、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザなどと同じ、5類に変更されました。5類感染症移行後は、一律の外出自粛の要請はなくなり、旅行やレジャーなど人の流れが活発になってきています。
しかしながら、新型コロナウイルスがなくなった訳ではなく、高齢者や基礎疾患を有する方が感染した場合、重症化の恐れがあることに変わりはありません。過去の感染者の推移を鑑みると、夏場や冬場に拡大する傾向があり、今後も感染動向を注視するとともに、感染拡大に備えた体制を整備しておくことが重要であると考えます。
そこで、5類感染症となった新型コロナウイルス感染症の対策にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
次に、新型感染症の感染拡大による影響を受けた産業の再生についてであります。
去る4月1日付けで佐藤副知事が就任されました。佐藤副知事が所管する部局は、根強い風評や5類へ移行となった新型感染症の感染拡大による影響からの再生に取り組む観光業や農産物の輸出促進を担っており、今後のより一層の取組を期待するものです。
世界的な感染拡大の影響から、長きにわたり人の移動の制限が続いた時期がありました。この間、海外における各種活動もオンラインや縮小を余儀なくされておりましたが、ようやく新型感染症の拡大前と同様の活動が可能となりました。
そこで、新型感染症の感染拡大による影響を受けた観光の再生や県産農産物の海外への販路拡大にどのように取り組んでいくのか、副知事の考えをお尋ねします。
次に、健康増進についてであります。
先日、調理師会の会合に出席した際、本県の健康指標について話題になりました。調理師の方々からは、食生活を改善することで健康指標も良くなるのではないか等の意見が出されていました。
本県の健康指標は、これまでの様々な取組により、健康寿命が着実に延伸してきているものの、メタボリックシンドローム該当者の割合は、令和3年度の厚生労働省公表値で19.2%と、全国と比較して下位にあるなど、低迷している項目もあります。
そこで、県は、県民の健康指標の改善にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、原油価格・物価高騰対策についてであります。
新型感染症が5類に位置付けられ、社会の情勢も平時に戻りつつありますが、重症化リスクが高い高齢者などが入所する社会福祉施設においては、引き続き感染対策が求められています。
そのような中、昨年度、県においては、社会福祉施設等に対する物価高騰への支援対策を講じられたところですが、依然として電気、ガス、ガソリン等の価格高騰が続いていることから、施設等の運営に深刻な影響が及んでおり、今もなお厳しい状況にあります。
国が定める公的価格で運営する社会福祉施設等が、安全・安心で質の高いサービスを提供していくためには、引き続き、県による支援が必要であると考えます。
そこで、物価高騰により厳しい状況が続く社会福祉施設等への支援について、県の考えをお尋ねします。
次に、原油価格・物価高騰の影響を受けている中小企業、小規模事業者への支援についてであります。
県内の中小企業、小規模事業者においては、新型感染症が5類に変更され、人流が増加して一部業種の需要が回復するなど明るい兆しがある一方で、原油価格や物価の高騰が収まらず、厳しい状況が続いております。
また、大手電力7社が6月1日から電気料金の値上げを行っており、事業者にとっては更なる負担増となっております。
国は、今年の1月から電気料金と都市ガス料金の激変緩和策を実施しておりますが、特別高圧電力やLPガスの使用者については支援対象となっておらず、電力・ガス・食料品価格高騰重点支援地方交付金を自治体に交付し、地域毎に対応を行うよう求めているものと認識しております。
そこで、県は、原油価格・物価高騰の影響を受けている中小企業等をどのように支援していくのかお尋ねいたします。
次に、新産業の育成・集積についてであります。
内堀知事は、今年の4月に欧州を訪問され、スペインのバスク州、ドイツのハンブルク州及びノルトライン・ヴェストファーレン州との連携覚書を更新されました。これら3州との連携覚書更新では、州首相との会談を始め、本県の産業や復興状況の発信など多くの業務に精力的に取り組まれ、知事の強い思いが感じられました。
今回の訪問により、再生可能エネルギーや医療機器の分野で、更なる交流や企業間連携が進んでいくことが期待されます。
また、脱炭素に向けた昨今の世界的潮流や、エネルギー安全保障の面から、再生可能エネルギー先進地である欧州に学ぶところは大きいと思われます。
そこで、スペイン・ドイツとの連携の下、再生可能エネルギー関連産業の育成・集積にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
次に、水素関連産業の育成・集積についてであります。カーボンニュートラルの達成に向けて、エネルギーとしての水素利用が、世界的に注目を集めています。
先般改定された国の水素基本戦略において、産業面では、「我が国の水素コア技術が国内外の水素ビジネスで活用される社会」を実現するため、早期の量産化・産業化を進め、国内外のあらゆる水素ビジネスで水素コア技術の活用を図ることとしています。
さらには、需給一体の国内市場創出に向け、地域での水素製造・利活用と「福島新エネ社会構想」の取組を加速化させることとしています。
世界有数の水素製造装置「FH2R」が立地し、再生可能エネルギー先駆けの地を標榜する本県にとって、この水素社会の実現の一翼を担うことが、復興・再生の次の柱になるものと考えます。
そこで、県は、水素関連産業の育成・集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、農業の振興についてであります。
本県の果物は、桃を中心に国内外からの評価も高く、販売額や品質においても全国トップレベルにあります。
しかしながら、本年4月に発生した凍霜害により、中通りと会津地方の24市町村で、日本なしやりんご、ももなどの果樹を始め、被害額が約4億4千万円となる大きな被害が発生しました。
県民連合議員会も、須賀川市、石川町、白河市の日本なしとりんごについて現地調査を実施し、被害を受けた農家の皆様の切実な声を直接伺ったところであります。
今回の凍霜害により、農作物の収穫量の減少や品質の低下など、農家所得の減少が危惧され、被害を受けた農家の皆様が心折れることなく営農を継続できるよう、県として万全の対策を行っていく必要があります。
そこで、県は、凍霜害を受けた農業者をどのように支援していくのかお尋ねします。
次に、本県農業の持続的な発展のためには、担い手の確保が非常に重要な取組であり、令和4年度の新規就農者数は三百三十四名と過去最高を記録するなど、これまでの取組が着実に実を結んでいるものと感じております。
このような中、県は、JAグループ福島、県農業振興公社及び農業会議と一体的な体制で、就農・定着から経営発展までを一貫して支援する、福島県農業経営・就農支援センターを本年4月に開所したところであり、新規就農者の確保に向けた取組がより一層強化されるものと期待しております。
そこで、県は、農業経営・就農支援センターにおける新規就農者の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、土木行政についてであります。
県内では、復興事業と共に、令和元年東日本台風を踏まえた福島県緊急水災害対策プロジェクトや、防災・減災、国土強靱化に向けた5か年加速化対策が進められております。
このため、多くの公共土木工事が実施されており、工事の状況から事業の進捗を実感できるようになってきました。引き続き、早期の事業効果発現に向け、事業の推進を期待しているところであります。
公共土木工事においては、地盤の掘削、盛土による造成など、大量の土砂を扱う工事が多く、工事で発生する土砂の取扱については、県が発注時点で搬出先等を指定する仕組みになっていることから、工事を円滑に進めるためには、建設発生土を受け入れする場所を確保しながら、有効活用していくことが重要と考えております。
そこで、県は、公共土木工事における建設発生土の有効活用にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、建設業の担い手の確保についてであります。
本県の基幹産業である建設業は、地域経済や雇用を支え、社会インフラの整備や維持管理、除雪、災害対応など、地域の守り手として重要な役割を担っておりますが、少子高齢化社会を迎え、多くの業界・業種で人手不足が課題となっている中、本県の建設業においても、若年層の就職が少なく、就業者の高齢化が進むなど、担い手の確保が大きな課題となっております。
このような状況下においても、地域の守り手である県内建設業が、持続可能で活力ある産業として発展していくためには、将来の建設業を支える若年層の就業促進が急務であります。
そのため、若年層に向けて、建設業の社会的役割や仕事のやりがい等をしっかりアピールすることが重要であると考えております。
そこで、県は、担い手の確保に向け、県内建設業の魅力発信にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、第7次県総合教育計画についてであります。
県教育委員会においては、昨年度から福島県の教育の基本方針となる第7次県総合教育計画をスタートし、未来を担う全ての子どもたちに必要な資質・能力を育成する観点から、「学びの変革」を柱に掲げ、「福島ならでは」の教育を推進するべく様々な施策に取り組んでいるところであります。
一方で、県教育委員会の取組だけでは「学びの変革」は進まない部分があると思います。学校関係者だけでなく、学びの主体となる子どもたちや、子どもたちを支える保護者、地域の住民に対し、これからの時代に求められる新しい学びについて理解してもらい、浸透を図った上で、「学びの変革」の実現に向け、具体的な施策につなげていくことが重要であります。
そこで、県教育委員会は、第7次県総合教育計画に掲げる学びの変革の実現に向け、どのように取り組んでいくのか尋ねます。
次に、地域におけるスポーツ環境の向上についてであります。
国は、「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」において、今年度から令和7年度の3年間を改革推進期間とし、中学校における休日の部活動を段階的に学校教育から切り離し、地域のスポーツ活動に移行する取組を進めることとしています。
福島県においても、少子化に伴う生徒数の減少により、既存の部活動をやむを得ず廃部とする学校や複数校による合同部活動を行わざるを得ない学校も増加するなど、これまでの部活動環境が一変している状況であります。中学生が、自分の興味や関心に基づき、スポーツや文化活動を選択し、継続して取り組むことができるようにするためには、学校に代わる充実した活動の場が必要であると考えます。
そこで、県教育委員会は、公立中学校における休日の部活動の段階的な地域移行にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
また、部活動の地域移行に当たっては、指導者となる人材の育成や活動拠点の確保、地域移行の受け皿となりうる総合型地域スポーツクラブを始めとしたスポーツ団体との連携のあり方など、地域ごとに様々な課題を有しており、円滑な地域移行を進めるには、市町村などの関係機関が一体となって地域のスポーツ環境の整備に取り組むことが重要であると考えます。
そこで、県は、地域におけるスポーツの環境づくりへの支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、地域密着型プロスポーツについてであります。
県内に拠点を置くプロスポーツチームは、サッカーの福島ユナイテッドFCといわきFC、野球のレッドホープス、バスケのファイヤーボンズに加え、本県を第2のホームタウンとしている女子バレーボールのデンソーエアリービーズの5つのチームがあります。
これまではコロナ禍で観戦も応援も十分にはできませんでしたが、新型コロナウイルスへの対応が第5類になったこれからは、スポーツ観戦の楽しさを会場で大いに分かち合うことができ、私自身も大変楽しみにしているところです。
観客の声援はチームの活躍につながり、チームの活躍が新たなファンを生み、こうしたスポーツの盛り上がりを通じて、地域の活性化が図られるものと期待しております。
そこで、県は、地域密着型プロスポーツのファンの拡大に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、外来生物の防除対策についてであります。一昨年の夏、郡山市で中国等が原産の外来種「サビイロクワカミキリ」の生息
が国内で初めて確認され、コスモス通り等の被害を受けた街路樹が200本以上、伐採されました。
また、浜通りでは、外来種の「アライグマ」の生息数が増加し、家屋の屋根裏での糞尿被害や農作物被害等が頻繁に報告されよ
うになっていると聞いております。
そのような中、外来生物法が今年の4月から改正され、特定外来生物の被害防止に係る都道府県の責務規定が新たに設けられたところであり、今後、県としての対策が求められることになります。
そこで県は、県内に侵入している外来生物の防除対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、警察行政についてであります。
本年4月の道路交通法の改正により、全ての自転車利用者に対して、ヘルメット着用の努力義務が課せられました。
県警察によりますと、平成30年から令和4年の過去5年間に、県内で起きた自転車の交通事故の死傷者は1,876人、そのうち亡くなられた方は19人で、全員がヘルメットを着用しておらず、うち9人が頭部に致命傷を負っていたとのことです。また、ヘルメットを着用しなかった場合と着用した場合の致死率を比較すると、着用しなかった場合、致死率が約2倍から3倍高いとの警察庁のデータもあります。
このように、自転車利用者の命を守るためには、ヘルメット着用が非常に有効だとは思いますが、街中を見てみますと、まだまだ自転車のヘルメット着用が定着しておりません。県警察には、ヘルメットの着用促進に向けた取組を強化していくべきと考えます。
そこで、自転車利用者に対するヘルメットの着用促進に向けた取組について、県警察にお尋ねします。
次に、県職員の不祥事についてであります。
県職員が逮捕される不祥事が相次いで発生したことは、由々しき事態であります。
我が会派としても、今月1日、知事に対し、知事が先頭に立って職員の綱紀粛正を徹底し、県民の信頼を取り戻すよう緊急要望したところであります。
ほとんどの職員はしっかり業務に取り組んでいることと思いますが、わずかな職員がこのような不祥事を起こせば、県政に対する信頼が揺らぐとともに、職員全体の士気にも大きく関わります。
職員が相次いで逮捕されるという異常事態を二度と繰り返さぬよう、改めて職員一人一人が、いま一度県民全体の奉仕者として、高いコンプライアンス意識と倫理観を自覚し、県民のために誠心誠意業務に取り組んでいかなくてはなりません。
そこで、県は、県民からの信頼回復に向け、職員のコンプライアンス意識の改革にどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。
以上で私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。