2020年 06月 25日
『福島県議会6月定例会 代表質問』 |
【原稿】
県民連合議員会、椎根健雄です。会派を代表し質問をいたします。
まず、この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された方々にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、医療従事者の方々をはじめ、最前線で県民の命と生活を守るためご尽力を頂いている皆さまに深く感謝申し上げます。
それでは、以下質問にはいります。
はじめに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
緊急事態宣言の全面解除を受け、感染の再拡大を防ぎながら経済を正常化させていく新たなステージに入りました。
現在、本県の感染拡大は抑えられている状況にありますが、今後も油断せず、3密を避け、感染防止対策を徹底した上で活動の再開を軌道にのせていく事が重要であります。世界的なコロナ危機の長期化も視野に入れながら、コロナとの共生戦略が問われております。
県は、これまで、医療体制や検査体制の強化、医療資機材の確保など対応を進めてきておりますが、感染が小康状態のうちに第2波、第3波に備えた医療体制を整備し、県民の生命と健康を守ることが重要と考えます。
そこで、今後の感染拡大に備え、医療提供体制の整備にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
次に、検査体制についてであります。
新型コロナウイルス感染症の検査は、抗原検査や抗体検査、PCR検査などの方法で実施されておりますが、これらの中で感染を確認するため最も信頼性の高い方法はPCR検査であります。
しかしながら、従来のPCR検査では、結果が出るまでに6時間程度を要するなどの課題もあり、今後、新たな感染拡大を想定すると、より一層、検査体制を充実させる取り組みが重要と考えます。
そこで、県は、今後の感染拡大に備え、PCR検査の充実にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、医療用防護資材の確保についてであります。
感染症対策の要は、実際に感染症と対峙する現場の医療従事者の方々であり、安全かつ、不安のない状態で働いていただけるよう、マスクをはじめ、フェイスシールドやガウン等の医療用防護資材の確保が必要不可欠であります。
しかし、これらの医療用防護資材の需要が急激に増大したことから各医療機関においては、防護資材の確保が困難な状況も発生しており、行政として資材の確保を支援していく必要があると考えます。
そこで、県は、医療現場における防護資材の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、地域経済と県民生活への支援についてであります。
本県では、4月20日に福島県緊急事態措置を発出し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月21日から5月6日までの間、県民の皆様に不要不急の外出自粛をお願いするととともに、対象の事業者の方々には休業の要請等を行い、協力金を支払うこととされましたが、残念ながら審査に時間を要し、交付に遅れが生じております。
福島県の緊急事態措置は5月15日まで継続され、自粛等の長期化により、幅広い事業者に大きな影響を与えております。
そこで、休業要請に協力した事業者への支援について、県の考えをお尋ねします。
また、休業要請の対象外の事業者への支援について、県の考えをお尋ねします。
次に、観光の再生についてであります。
本県経済の主要な産業の一つである観光業は裾野が広い産業であるため、旅館・ホテルなどの宿泊施設のみならず、観光客向けの県産品や観光施設などに携わる多くの県民の皆さんが、新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けております。
そこで、深刻な影響を受けている本県観光の再生に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
一方、県内の旅館・ホテルにおいては、今後様々な地域のお客様を受け入れることから、新型コロナウイルス感染症への対応について不安があると聞いております。県内外の人々が、安心して福島を旅するためには、宿泊施設の感染症対策は欠かすことができないものと考えます。
そこで、県は、宿泊施設の感染症対策をどのように支援していくのかお尋ねします。
次に、福島空港の国内定期路線の維持についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、航空会社は全国的に減便や運休を余儀なくされ、未曾有の経営危機に直面しております。現在、福島空港においても、定期路線の5往復中4往復が運休し、大阪便1往復のみが運航している大変厳しい状況にあります。7月22日から札幌便と大阪便の1往復が再開する嬉しいニュースはあるものの、かつてない深刻な危機は今後も続くものと想定されます。
福島空港の定期路線は、関西圏や北海道との経済活動や観光誘客、交流人口拡大の根幹を成す公共交通であり、何としても守らなければなりません。
そこで、県は、福島空港の国内定期路線の維持にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、雇用対策についてであります。
県内の雇用情勢を見ますと、福島労働局が5月末に発表した雇用失業情勢は、4月の有効求人倍率が1.32倍と前月を0.04ポイント下回ったところであり、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に及びつつあります。
福島労働局が開設している「新型コロナ感染症の影響による特別労働相談窓口」に寄せられた相談件数は、5月27日までに10,672件にのぼり、そのうち約8割が、雇用調整助成金や休業に関するものとなっているほか、相談者の約7割が事業主の方からの相談となっております。厳しい経営状況の下、事業主の皆様に、なんとか雇用の維持にご尽力を頂いております。
一方、労働者側からの解雇や休暇に関する相談も、2月はゼロだったところ、400件近くに上る状況になってきております。
そこで、県は、悪化している雇用情勢を踏まえ、どのように対応していくのかお尋ねします。
次に、県民の心のケアについてであります。
今回の自粛生活などでストレスを溜めておられる方々は多いと思います。感染症の収束がいまだ終わりを見通せない中、感染への不安、経済活動の低下に伴う収入減少や失職など、悩みを抱える県民の増加も想定されることから、今後、心のケアはより重要になってくるものと考えます。
そこで、県は、不安や悩みを抱える県民の心のケアにどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、特殊詐欺被害の防止対策についてであります。
新型コロナウイルス感染症に便乗した特殊詐欺や、その予兆電話が横行しはじめているという報道を耳にしております。
このような状況下において、人々の不安や焦りなどにつけ込み、お金をだまし取る、この種の卑劣な犯罪は絶対に許すことができません。県警察におかれましては、これまで以上に各種被害の防止対策を強化していくことが重要と考えます。
そこで、県警察における新型コロナウイルス感染症に便乗した特殊詐欺の被害防止対策についてお尋ねします。
次に、学校再開に伴う支援についてであります。
県立高校においては、5月25日から段階的に学校が再開され、6月1日から通常の教育活動が再開されております。臨時休業期間中、授業はほとんど実施できず、その前後の期間も時差通学、短縮授業、分散登校により通常とは異なるかたちで授業が行われました。このことから、学習の遅れが懸念されており、学力向上や進路実現への不安を感じている生徒たちもいます。
そこで、県教育委員会は、県立高等学校の臨時休業等に伴う学びの保障にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
一方、教育活動を再開した学校現場では、消毒作業を始めとする新型コロナウイルス感染症への日々の対策を行うとともに、夏季休業期間を短縮して臨時休業期間の補充をするための授業を行うなど、教員の負担が増加しております。
そこで、県教育委員会は、学校再開後における教員の業務負担の軽減にどのよ
うに取り組んでいくのかお尋ねします。
また、学校再開後における児童生徒の心のケアも極めて重要です。
児童生徒は、臨時休業中の外出自粛によるストレスや感染防止のための「新しい生活様式」による学校生活への不安を抱えていると耳にしております。
そこで、県教育委員会は、学校再開後における児童生徒の心のケアにどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、在宅勤務についてであります。
新型コロナウイルスの感染拡大に備え政府が示した「新しい生活様式」の中で、在宅勤務等の推進が求められており、民間企業を始め各自治体において、導入の動きが広がっております。本県においても、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下での感染拡大を防止するため、段階的に在宅勤務を拡大したと聞いております。緊急事態宣言は解除されましたが、新しい生活様式も踏まえた在宅勤務は働き方の一つとして重要と考えます。
そこで、県は、職員の在宅勤務にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、災害時の避難についてであります。
県内も梅雨入りし、大雨による洪水や土砂災害が発生する危険性が高まる中、避難所となる公民館や学校の体育館などにおいては、「3密」の条件がそろいやすく、新型コロナウイルスの感染リスクが高くなることが心配されています。
そうした中、感染対策のため、従来の十分な換気の実施やスペースの確保、手洗い、咳エチケット等の徹底等に加え、更なる対策を取っていく必要があると考えます。
そこで、災害時の避難に係る新型コロナウイルス感染症への対応について、県の考えをお尋ねします。
次に、令和2年度6月補正予算編成についてであります。
県は、今定例会に新型コロナウイルス感染症対策を柱とする335億円余りの補正予算を提案しております。
新型コロナウイルス感染症は、県民生活や県内経済に多大な影響を与えており、感染拡大の防止、検査・医療体制の拡充はもとより、県内企業への支援などについて県独自の対策を講じることが求められることから、国予算の活用に加え、既存事業の見直しも行いながら、積極的に事業を構築し、推進していくことが必要であると考えます。
そこで、6月補正予算編成に当たっての基本的な考え方についてお尋ねします。
東日本大震災と原子力発電所事故から10年目に入りました。
復興に向け着実に歩みを進める中、昨年は東日本台風と大雨により甚大な被害が発生いたしました。加えて、今般発生した新型コロナウイルス感染症は、今後の復興の取組に大きな支障を来すおそれがあります。
復興を風化させてしまわないよう未だ有事である認識を強く持って、こうした様々な災害等に対し、感染拡大防止や経済活動対策といった取組を進めながら、復興・創生期間後においても、次期復興計画の下、様々な課題にしっかりと取り組むことが重要であると考えます。
そこで、知事は、復興・創生期間後の復興をどのように進めるのかお尋ねします。
次に、特定復興再生拠点区域外の避難指示解除についてであります。
帰還困難区域を抱える市町村のうち、双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村及び葛尾村においてはそれぞれ特定復興再生拠点区域復興再生計画を策定し、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向け、除染やインフラ整備等、復興・再生のための環境整備に取り組んでいます。しかし、拠点区域外については国から具体的方針がまだ示されておらず、避難指示解除の見通しが立っていません。
地元自治体の声を大切に、一刻も早く、国が拠点区域外の方向性を打ち出し、帰還困難区域全体の解除を目指すべきであり、そのことが住民の方々に希望を与えるものになると考えます。
そこで、県は、特定復興再生拠点区域外の避難指示解除に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、首都圏の副業人材の活用についてであります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務やテレワークが急速に進むなど、新しい働き方や新しい生活様式が求められております。人口が密集した東京に住まなくても在宅勤務やテレワークで仕事ができる、生活は地方でという方もでてきております。
また同時に、首都圏の大企業においては、本業へのプラスの効果をもたらすものとして、副業を推奨する動きも広がってきております。
首都圏の外部人材と本県とをつないでいくこと、いわゆる関係人口を積極的に増やしていくことが、将来の移住者の増加につながるものと考えます。
そこで、首都圏からの副業する人材の呼び込みを通じて、関係人口の増加を図るべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
次に、道路施策についてであります。
震災以降、県内においては、常磐自動車道の全線開通をはじめ、東北中央自動車道(相馬福島道路)が来春には全線開通の予定となるなど、高規格幹線道路の整備が着実に進められております。
今月5日に復興庁の設置期限10年延長が盛り込まれた改正復興庁設置法等が成立し、今後、本県の復興をさらに進めるためには、避難されている方々の帰還促進とともに、本県への移住や交流人口の拡大等を進める必要があると考えます。
地方創生や産業振興を支えるために重要な役割を果たす道路を、長期的な視点から充実・強化させていくことは重要です。
そこで、長期的な視点に立ち、道路網の整備を進めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
次に、福島第二原子力発電所の廃止措置計画についてであります。
東京電力は、昨年7月31日に廃炉を決定し、先月29日には、福島第二原子力発電所の廃炉工程をまとめた、廃止措置計画を原子力規制庁に認可申請したところです。
また、同日、原子力規制委員会への認可申請に先立ち、県と、発電所が立地する楢葉町と富岡町に対し、計画の事前了解願いが提出されたと聞いております。
福島第二原発の廃炉は、長期間に渡り4基全てを廃炉にするという作業であり、県民の関心が高いだけでなく、放射性物質の漏洩や拡散防止対策など、安全な廃炉作業を実現し、安全・安心を確保することが、最も優先すべき事項であると考えます。
そこで、県は、福島第二原発の廃止措置計画の事前了解願いにどのように対応していくのかお尋ねします。
次に、地球温暖化対策についてであります。
プラスチックによる海洋ごみ問題、地球温暖化など、生活環境や国民経済を脅かす地球規模の課題が一層深刻さを増しており、そのような中で、レジ袋の有料化が7月1日から開始されます。
今年1月、世界気象機関(WMO)は、2019年の世界の平均気温が産業革命前と比較して1.1度上昇し、観測史上2番目に高かったと発表しました。10年間の平均気温でも、1980年代以降、過去最高を更新し続けており、現状のような温室効果ガスの排出が続くと、今世紀末までに、産業革命前より3度から5度上昇することになり、今後数十年間、異常気象に直面することになると危機感を表明しています。
また、6月12日に閣議決定された環境白書においては、「気候変動問題をはじめとした地球環境の危機」という章が新たに設けられるなど、地球温暖化対策が急務となっております。
このように、地球温暖化対策は、世界中で取り組むべき喫緊の課題であり、本県においても、積極的に行動に移す必要があると考えます。
そこで、県は、地球温暖化対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、再生可能エネルギーについてであります。
県では、再生可能エネルギーの導入推進に当たり、福島県再生可能エネルギー推進ビジョンや福島新エネ社会構想等に基づく様々な取組が進められているところですが、地球温暖化対策のためには脱炭素、地域循環、分散型社会への移行を早急に進める必要があり、その意味においても、持続可能な再生可能エネルギーに期待される役割がますます高まっているものと考えます。
そこで、県は、再生可能エネルギーの更なる導入に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、県民の健康指標の改善についてであります。
本県は、全国に誇れる健康長寿県の実現に向けて、健康をテーマとした県民運動を進めるなど、様々な取組を積極的に展開してきたところですが、先日、新聞に掲載された、人口10万人あたりの生活習慣病に起因する死亡率は、全国でも下位にとどまり、依然として厳しい状況にあります。
新型コロナウイルス感染症により県民の自粛生活が続いたことから、健康指標の悪化も懸念され、健康づくりの取組がますます重要になってくると考えます。
そこで、県は、県民の健康指標の改善に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、里山再生事業についてであります。
里山は豊かな生態系を保全するとともに、そこから生産される薪で調理や暖房を行い、落ち葉で肥料を作り、野菜を生産し、家畜を育てるなど、いわゆる「里山資本主義」も実践され、憩いの場ともなっております。
そうした里山との関わりが東京電力福島第一原子力発電所の事故により大きく変わってしまいました。その里山を再生するために、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組の一つとして実施してきたモデル事業の成果を踏まえ、国は令和2年度から里山再生事業を実施するとしています。
そこで、県は、里山再生事業を今後どのように進めていくのかお尋ねします。
次に、農業人材の育成についてであります。
本県の農業は、首都圏等への食料の安定供給を担う重要な役割を果たすとともに、県民の食を守ってきました。
一方、産地では、高齢化や労働力不足などの構造的な問題があり、後継者がいない農家では受け継いできた知恵や技術が途絶えようとしております。将来を見据えたときに、より幅広い層の方々が本県農業を支える担い手となり、産地の発展に貢献し、自らも安定した経営を早期に確立できるような人材の育成が喫緊の課題であると考えます。
そこで、県は、農業人材の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、ツキノワグマ対策についてであります。
近年、会津地方や福島市などを中心にツキノワグマの目撃情報や人身被害が増えております。昨年度は、目撃情報が過去最多となる558件、人身被害も9件発生しております。今年度は目撃情報がやや減少しているものの、人身被害については、先月、西会津町で登山中の男性が襲われる被害が発生しており、依然として地域住民に大きな不安を与えております。
ツキノワグマの目撃情報は、例年6月、7月にピークを迎えることが多いことから一層注意が必要であり、クマを市街地など人の生活圏に近づけないことが重要であります。
そこで、県は、ツキノワグマの被害防止対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
最後に、令和元年東日本台風等からの復旧についてであります。
昨年十月の東日本台風とその後の大雨によって、県内のほぼ全域で甚大な洪水が発生し、県が管理する河川の堤防が決壊するなどの被害をもたらしました。
今年度も梅雨時期を迎えており、既に大雨洪水警報などの気象警報が発表されております。これから台風が本格的に来襲する時期に備えて、洪水から県民の生命と財産を守る重要な施設である河川堤防を速やかに復旧し、県民の安全と安心を確保する必要があると考えます。
そこで、令和元年東日本台風等により被災した県管理河川の復旧の状況と今後の見通しについてお尋ねします。
by shiine-takeo
| 2020-06-25 23:22
| 福島県