2017年 07月 04日
『平成29年 6月定例会 一般質問』 |
福島県議会 6月定例会 一般質問 を行いました。
まず初めに、福島の復興について であります。
昨年、東日本大震災から5年と1日目。全国紙の朝刊に福島県の広告が載りました。「あなたの思う福島はどんな福島ですか?」という題名です。この広告が今回6つの賞を受賞しました。表彰を下さり、福島の思いに共感して下さった関係の皆さまに感謝申し上げます。
広告の内容は、『福島県という名前を変えないと、復興は難しいのではないかという人がいます、という言葉からはじまり、結びに、名前は変えません、これからもよろしくお願いします。ほんとにありがとない』という文で終わる広告です。この文面の中で、福島で暮らす人々、福島の良さ、廃炉には長い時間がかかるなど、生業や思い、感謝や現状を伝えております。
震災から6年が過ぎ、風評と風化が進む中、これからも福島の現状と向き合いながら、堂々と誇りをもって前に進んでいくことの大切さを、改めて認識すると共に、福島県を応援して下さる方々への感謝の気持ちを忘れない、そして福島県の思い、現状をこれからも正しくしっかり情報発信していくことの大切さを確認させていただきました。
そこで、これからの福島の復興をどのような思いで前進させていくのか、知事の考えをお尋ねいたします。
次に、医療体制の充実について であります。
本年度、県は、医療介護総合確保推進法により改正された医療法に基づき、福島県地域医療構想を策定しました。団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護の需要が増大すると予想される2025年を見据えた改正です。その中で、医療従事者の確保について、本県の実情に応じた必要な対策を、平成29年度に策定する第七次医療計画に具体的に盛り込むとともに、平成30年度以降に開始される新たな専門医制度の実施状況を踏まえ、医師確保対策を進めるとしています。
県の現在の第六次医療計画は、平成29年度末で計画期間が満了します。次の第七次医療計画は、平成30年度から平成35年度までの計画であり、県内医療従事者の確保、地域差のある医療体制の充実をはかる事が必要と考えます。
そこで、県内の医療提供体制の充実に向け、第七次医療計画の策定にどのような方針で取り組むのか、県の考えをお尋ねいたします。
次に、発達障がいのある子どもたちへの支援について であります。
平成24年の文部科学省の調査によると、発達障がいの可能性のある小中学生は全体の6.5%、と推計されております。
子どもたちの心の問題は、教育や福祉の現場でも課題となっている中で、専門に取り扱う医師が全国的にも不足しており、県内でも初診までの待機期間が数ヶ月待ちとなっているのが現状です。
県立矢吹病院においては、児童思春期外来を開設しておりますが、矢吹病院
を受診される児童思春期外来の受診者数は年々増加の一途の傾向にあり、平成
24年から平成28年にかけて、延べ患者数で522人から1440人と、こ
こ4年間で2.7倍に増えております。
このような中、矢吹病院においては、初診までの待機期間が4、5か月となっており、待機期間の長期化が課題であります。診療体制の充実を図り、診療待ちの期間をなるべく短くするとともに、子どもや家族への負担を少なくすることが重要であると考えます。
そこで、県は、県立矢吹病院における児童思春期外来の充実にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。
次に、医療関連産業の振興について であります。
昨年11月に郡山市富田町に整備された、「ふくしま医療機器開発支援センター」は、地元における医療関連産業の育成・集積、雇用の創出の面からも県民の期待が大きいものがあります。開所から約半年が過ぎ、本格運用が始まる中、センターには企業等から300件を超える問い合わせが寄せられ、2千人あまりの視察者が訪れていると聞いており、3月には補助人工心臓を使用した医療技術トレーニングが実施されました。
県においては、今月行われた国への要望活動の中において、国内医療福祉機器産業の国際競争力強化に向け、センターを活用した新たな施策を講じる要望をされました。今後はセンターにおける優位性を国内はもとより、国内外にアピールしながら医療関連産業の振興を図っていくことが必要と考えます。
また、県は、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州との間でも医療関連産業分野において覚書を締結し、企業間交流が進んでいます。さらに先日、タイ王国との間で医療関連産業に関する覚書を締結したとの報道がありました。県内企業の販路開拓は、国内はもちろんですが、市場拡大が見
込まれる海外にも力を入れるべきと考えます。
そこで、医療関連産業の海外展開に向け、どのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。
次に、避難地域における郵便局の再開について であります。
東日本大震災・福島第1原発事故に伴う、避難指示が出された区域において、現在直営郵便局14局、簡易郵便局5局が閉鎖されています。
震災以降、地域に根ざした多くの郵便局が閉鎖となっている中において、本年4月に浪江郵便局、富岡郵便局、5月に南相馬市小高区にある飯崎簡易郵便局が再開いたしました。今後、飯館村の小宮簡易郵便局、大倉簡易郵便局が、今年度中の再開を目指し準備中と聞いております。また、先日、川俣町の山木屋郵便局についても再開に向け協議が進められるとの報道があったところであります。
郵便局は民営化されておりますが、これから住民の帰還に向け大きく動き出す中において、郵便や貯金といった金融部門も含め、生活の基盤となる郵便局が果たす役割は大きなものがあり、地域住民の生活の支えとなるものと考えます。
そこで、住民の帰還に向け、避難地域における郵便局の再開にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。
次に、外国人観光客による情報発信について であります。
本県においては、復興に向けた努力を続けているところですが、風評等の影響により観光業は未だ厳しい状況にあります。このような中、インバウンドと呼ばれる外国人観光客が国全体で伸びているものの、本県は昨年の外国人宿泊者数が全国41位に留まっております。また、時間の経過に伴い、震災の風化も進んでおり、福島の現状を世界へ伝えていくことは、今後も重要と考えます。
多くの外国人観光客は、過去に日本を訪れた方がインターネットで発信している情報を、旅行先を選ぶ際の参考としているため、外国人観光客自らによる、生の福島がわかる情報発信のための環境を提供していくことが、本県への誘客を図る上で必要であると考えます。
そこで、県は、外国人観光客による情報発信のための環境提供にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、福島第一原発の廃炉作業について であります。
現在、廃炉に向け福島第一原発1号機において、原子炉建屋カバーの解体を行っております。カバーの柱、梁の取り外し作業が終了し、現在、防風シートの取り付け作業が進められており、今後、ガレキ撤去作業へ向かう予定となっております。
また、3号機では、燃料取り出し用カバーの設置工事が進んでおり、新たな燃料取扱機を設置後、2018年度中頃に使用済燃料プールから566体の燃料取り出しの開始を目指す予定となっております。慎重に作業を進めるため、ガレキ撤去や燃料取り出しなど実際に現場で使用する機器を使用して繰り返し訓練を実施している状況です。
先日、総務委員会において、楢葉遠隔技術開発センターの取り組みを視察しました。センターでは、福島第一原子力発電所の廃炉措置や災害応対等のためのロボットの開発・実証試験が行われており、廃炉には空間線量率が高い作業におけるロボット等の遠隔技術が必要不可欠であります。線量の高い中でのガレキの撤去など課題は山積しております。
汚染水対策も重要です。凍土遮水壁が、先月5月22日から,北側と南側で凍土が十分に造成された箇所の成長を制御することを目的として維持管理運転を始めました。また、陸側遮水壁の凍結に引き続き、今後第二段階として山側の未凍結箇所の一部を閉合することで、建屋周辺への地下水の流入量を減らし、汚染水の発生を抑制するとしています。
そこで、県は、福島第一原発における燃料取り出しや凍土遮水壁の課題を、どのように認識しているのか、お尋ねいたします。
また、平成26年6月議会の私の質問に対して県は、「汚染水対策について廃炉安全監視協議会等により厳しく監視していく」旨の答弁をされました。
そこで、県は、燃料取り出しや凍土遮水壁の取組を、どのように監視していくのか、お尋ねいたします。
次に、ロボット産業の振興について であります。
2020年に、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構が主催する、「ワールドロボットサミット」が愛知県と福島県で開催されます。8月中旬の3日間にわたり、南相馬市・浪江町に整備を進めている福島ロボットテストフィールドにおいて、特別な施設を必要とするインフラ・災害対応分野の一部の競技が開催されます。
この分野では災害現場において人間には困難な作業・職務の実行を目的とした競技が行われ、ロボットに関する競技や展示を通じ、暮らしや産業・社会がどのように変化するかを示していくそうです。
是非この機会を通じ、廃炉に向けたロボットの進展はもとより、新産業の創出や地元産業の活性化につなげていくべきと考えます。
そこで、県は、ワールドロボットサミットの開催を契機として、ロボット関連産業の振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、再生可能エネルギーの推進について であります。
県においては、2040年頃に県内のエネルギー需要量の100%相当量を再生可能エネルギーで生み出すという目標を掲げ、再生可能エネルギー先駆けの地を目指して取り組んでおります。
しかし、固定価格買い取り制度の価格が下がる中、県が掲げる目標達成のためには、県独自の補助金制度など、県が積極的に再生可能エネルギーの導入促進に取り組む必要性が増していると考えます。
そこで、再生可能エネルギーの導入推進に、どのように取り組むのか、県の考えをお尋ねいたします。
次に、農業の振興について であります。
先月5月23日に福島県農業総合センターにおいて、地元の小学生による田植えが行われました。苗は県オリジナル品種の「天のつぶ」。今後も、稲穂の観察や稲刈りなどの農作業を通じながら自然との触れ合いを行っていくそうです。
また、各農林事務所でも、「田んぼの学校・畑の学校」として、同じような取組が行われていると聞いております。水田や畑などの農地、水路やため池などの農業用施設は、古くからそれぞれの地域において、農業と農村生活の営みのなかで育まれ維持され、その役割をはたしてきました。
しかしながら、原発事故や農業の高齢化や機械化、地域の過疎化、子どもたちの遊びも多様化する中で、子どもが農作業や農業用施設及び自然と触れ合う機会も減ってきております。
生きることは自然からの恵みを受け食べることでもあり、「田んぼの学校・畑の学校」を通じ、子どもたちが農業や自然、食について学ぶことは極めて重要であると考えます。
そこで、県は、農業の体験学習にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、警察行政について であります。
昨今、世界中でドローンの性能が進化し、県においても様々な取り組みを行う中で、今後の利活用に対する期待が高まっております。正しい利活用と共に必要性が高まっているのが、危険な運用に対する対応と対策であります。
昨年、首相官邸にドローンが落下していた事案を受け、重要な施設等の上空をドローンで飛行することを禁止する趣旨の法律が制定され、福島の原発についても飛行禁止区域として指定されたところであります。今後は、この法律を踏まえ、禁止区域等におけるドローン飛行に対する取締りが行われると聞いております。
そこで、県警察は、原子力発電所におけるドローンの飛行を防止するため、どのように取り組むのか、お尋ねいたします。
最後に、郡山合同庁舎について であります。
県においては、新たな郡山合同庁舎の整備について、平成27年度に策定した郡山合同庁舎整備基本構想において、ビッグパレットふくしまの北側の地に移転する計画を表明するとともに、先月には建築計画等を定めた基本計画が示されました。
現在、多くの県民に利用されている庁舎は、昭和5年に完成。昭和43年に現在の郡山市役所ができるまで、38年間にわたり郡山市役所庁舎として使用されておりました。郡山市は、近代建築として建てられたこの庁舎を中心に発展の礎を築いたといっても過言ではありません。地域住民にとって愛着も深く、地域に根ざした建物であります。
また、昨年、猪苗代湖・安積疏水・安積開拓を結ぶストーリー、「未来を拓いた一本の水路」が日本遺産に認定されました。庁舎のある麓山地域とも馴染みが深く、庁舎の歴史的価値は高まってきております。そのため、郡山合同庁舎移転後の現庁舎の今後の利用計画などについて、郡山市等としっかり話し合っていくことは重要と考えます。
そこで、郡山合同庁舎移転後の現庁舎の取扱いについて、県の考えをお尋ねいたします。
以上で、私の質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
by shiine-takeo
| 2017-07-04 09:29
| 福島県